2026 09 23

相続時精算課税制度って何? 不動産の生前贈与を考えるなら知っておきたい制度

「親が元気なうちに、子どもに家や土地を渡しておきたい」

相続の相談をしていると、そんな話が出てくることがあります。

特に土地や建物は、現金と違って「相続が発生してから分ける」のが難しいケースもあります。

そこで知っておきたい制度のひとつが、**「相続時精算課税制度」**です。

名前だけを見ると少し難しそうですが、考え方はそれほど複雑ではありません。


生前贈与を「相続のときにまとめて精算」する制度

通常、誰かから財産をもらえば「贈与税」の対象になります。

ところが相続時精算課税制度を利用すると、一定の範囲について、贈与した時点での贈与税の負担を抑え、将来その贈与者が亡くなったときに、贈与した財産を相続財産に加えて相続税を計算します。

簡単に言えば、

「今すぐ贈与税として大きく払うのではなく、相続のときにまとめて精算しましょう」

という仕組みです。

現在の制度では、2024年以降の贈与について、年間110万円の基礎控除が設けられています。

さらに、基礎控除を除いた部分については、累計2,500万円までの特別控除があります。2,500万円を超えた部分には、原則20%の贈与税がかかります。

ただし、ここで大切なのは、

「2,500万円まで完全に税金がなくなる」という制度ではない

ということ。

贈与時の贈与税を抑え、相続時に精算する制度だと考えると分かりやすいでしょう。


誰でも利用できるわけではありません

相続時精算課税制度には条件があります。

原則として、贈与をする人は贈与した年の1月1日時点で60歳以上の父母または祖父母など、贈与を受ける人は18歳以上の子や孫などが対象です。

また、この制度は「贈与者ごと」に選択できます。

例えば、父からの贈与については相続時精算課税制度を利用し、母からの贈与については通常の暦年課税を利用する、といった使い分けも可能です。

ただし、一度選択した贈与者については、後から通常の暦年課税に戻すことはできません。

ここは「とりあえず使ってみよう」と簡単に決めない方がよいポイントです。


不動産の贈与では特に注意が必要

この制度を考えるとき、私たち不動産屋として気になるのが土地や建物の生前贈与です。

例えば、親が所有している土地を子どもに贈与する。

一見すると「相続の前に名義を変えておけば安心」と思うかもしれません。

しかし、不動産の場合は贈与税だけを考えればよいわけではありません。

贈与による所有権移転では、登録免許税や不動産取得税など、相続で取得する場合とは異なる費用が発生することがあります。

さらに、相続で土地を取得した場合に一定の条件を満たせば利用できる**「小規模宅地等の特例」**も、相続時精算課税によって贈与された土地については適用できません。

つまり、

「相続税が安くなるかもしれないから、とりあえず土地を生前贈与」

という考え方は少し危険です。


では、どんな場合に検討するの?

例えば、将来的に価値が上昇する可能性のある財産や、賃貸不動産などの収益を生む財産について、早い段階で次の世代へ移しておきたい場合などには、選択肢のひとつになることがあります。

また、子どもが住宅を購入する際に、親からまとまった資金援助を受けるケースもあります。

住宅取得資金については、一定の要件を満たせば、住宅取得等資金の贈与税の非課税制度と相続時精算課税を組み合わせられる場合もあります。

ただし、「相続時精算課税の方が必ず得」というわけではありません。

財産の種類、金額、家族構成、将来の相続税、贈与から相続までの期間などによって、適した方法は変わってきます。


「贈与するか」より「どう承継するか」

相続対策というと、

「税金をいくら減らせるか」

という話になりがちです。

もちろん税金も大切です。

でも、不動産の場合は、それと同じくらい、

「その土地や家を、将来誰がどう使うのか?」

を考えることが大切だと思います。

親が住んでいる家を子どもに贈与するのか。

将来売却するのか。

賃貸にするのか。

空き家になる可能性はないのか。

土地を相続したものの、使い道がなく困ってしまうケースもあります。

相続は「税金の問題」であると同時に、「不動産をどう引き継ぐか」という問題でもあります。


まずは家族で話してみることから

相続時精算課税制度は、うまく活用できれば生前の財産承継を考えるうえで便利な制度です。

一方で、不動産が絡むと税金だけではなく、登記費用や不動産取得税、将来の売却や管理、相続人同士の関係など、いろいろなことを考える必要があります。

だからこそ、

「親が元気なうちに、家族で一度話しておく」

ことが大切です。

相続時精算課税制度を使うべきか、暦年贈与がよいのか、それとも贈与せず相続まで待つのか。

これは財産状況によって答えが変わります。

せとうち不動産でも、土地や建物の相続・売却・空き家など、不動産に関するご相談をお受けしています。

税金の具体的な判断については税理士などの専門家と連携しながら、**「その不動産をこれからどうしていくのか」**を一緒に考える。

相続対策は、相続が発生してからではなく、元気なうちから少しずつ考えておくことが大切です。
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※国税庁の現行資料では、相続時精算課税を選択した場合、相続時には贈与時の価額を基礎として相続税を計算し、すでに納めた贈与税相当額は相続税から控除され、控除しきれない場合は還付される仕組みです。

また、今回のテーマは**「不動産の生前贈与」とかなり相性がいいので、ブログとしては「相続時精算課税制度の解説」だけで終わらず、「親から土地・家をもらうと、実際にどんなお金がかかる?」**という具体例の記事を次に続けると、せとうち不動産らしい内容になりそうです。


◻︎◻︎国税庁 No.4103 相続時精算課税の選択
  https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4103.htm


【本日の一曲】
Okvsho – Soulé

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