2026 10 14

ゴミ処理場がスキー場に!?  デンマーク「コペンヒル」に学ぶ、世界を前進させるデザイン

     ◻︎◻︎出典:「コペンハーゲンに山を」公式サイト

皆さんは、ゴミ処理場の屋上でスキーができると聞いたら、どう思いますか?

「えっ、ゴミを燃やす施設でしょ?」と思う方も多いかもしれません。ところが、デンマークの首都コペンハーゲンには、ゴミを処理しながら発電し、屋上ではスキーやハイキング、クライミングまで楽しめる施設があります。

その名も「コペンヒル(Copenhill)」。

2019年にオープンしたこの施設は、世界的に知られる建築事務所BIG(ビャルケ・インゲルス・グループ)が設計しました。ゴミ処理場という、普段はあまり近づくことのない場所を、街の人々が集まる新しいスポットへと変えたのです。

今回は、そんなコペンヒルから、これからの街づくりや暮らしのヒントを探ってみます。


ゴミを処理するだけじゃない! 街のエネルギーを生み出す施設

コペンヒルの本来の役割は、ゴミを焼却してエネルギーを生み出すことです。

焼却時に発生する熱を利用し、コペンハーゲンの約3万世帯に電気を、約7万2,000世帯に暖房用の熱を供給しています。

デンマークでは、ゴミを単に処分するのではなく、エネルギー資源として活用する取り組みが進められてきました。コペンヒルは、そんな環境への取り組みを支える重要な施設でもあります。

そして驚くのは、建物の屋上です。

なんと、屋上には人工芝などを使ったスキー場が整備されています。雪の少ない季節でもスキーを楽しめるようになっており、初心者向けのコースから上級者向けのコースまで用意されています。

さらに、屋上にはカフェやバーがあり、景色を眺めながらゆっくり過ごすこともできます。ハイキングやジョギングを楽しめるコース、建物の側面には高さ85メートルのクライミングウォールまで!

ゴミ処理場という言葉から想像する施設とは、ずいぶん違いますよね。


「必要な施設」を「行きたくなる場所」へ

そもそも、ゴミ処理場は私たちの生活に欠かせない施設です。毎日の暮らしで出るゴミを処理してくれているのに、普段から施設を訪れたり、そこで何が行われているのかを意識したりする機会は、それほど多くありません。

ところが、そこにスキー場やカフェがあったらどうでしょう。

スキーを楽しむために訪れた人が、ゴミがエネルギーに変わる仕組みを知るかもしれません。家族で遊びに来た子どもが、環境問題に興味を持つきっかけになるかもしれません。

本来の役割に加えて、人が集まり、楽しみ、学べる場所にする。そうすることで、施設と市民との距離も自然と近くなります。

コペンヒルの設計思想には、持続可能な社会づくりを、我慢や義務だけでなく、楽しみながら実現しようという考え方があります。いわば「楽しいから続けられるサステナビリティ」です。

環境に優しいことは大切。でも、それを実現するために、必ずしも楽しさを犠牲にする必要はありません。むしろ、楽しさがあるからこそ、多くの人が関心を持ち、参加したくなるのではないでしょうか。


できないと思っていたことも、発想を変えれば?

コペンヒルのような施設を実現するには、建築や設備の技術だけでなく、資金の確保、安全面の検討、施設の運営など、さまざまな課題を乗り越える必要があります。

実際に、このプロジェクトでは建築家や技術者、行政、民間団体など、多くの関係者が協力してきました。

最初からすべての答えが見えていたわけではありません。利用する人のニーズを調べ、資金や運営方法を考え、課題に向き合いながら少しずつ前進していったのです。

「ゴミ処理場の屋上をスキー場にするなんて無理だろう」

そう考えてしまえば、そこで終わりです。でも、「どうすれば実現できるだろう?」と問いを変えると、新しい可能性が見えてきます。

これは、大きな建築プロジェクトに限った話ではないと思います。

普段の仕事でも、地域の活動でも、住まいづくりでも同じです。これまで当たり前だと思っていたことを少し違う角度から眺めると、意外な解決策が見つかることがあります。


暮らしや街の未来を、もっと楽しく

コペンヒルが教えてくれるのは、建物のデザインが見た目を美しくするだけではない、ということです。

施設に対するイメージを変え、人の行動を変え、街との関わり方まで変えていく。そんな力が、建築やデザインにはあるのかもしれません。

不動産や建築の仕事でも、単に家や建物をつくる、売る、直すだけではなく、その先にある暮らしをどう楽しくできるかを考えることが大切だと感じます。

皆さんの身近にも、「こういうものだから仕方ない」と思っている場所や仕組みはありませんか?

もし、ほんの少し発想を変えたら、もっと楽しく、もっと便利になるとしたら……。

「無理だ」と決めつける前に、「どうすればできるだろう?」と考えてみる。

デンマークのコペンヒルは、そんな前向きな発想の大切さを教えてくれる施設です。

必要なことだからこそ、もっと楽しく。

これからの街づくりや暮らしを考えるうえで、ぜひ参考にしたいアイデアですね。


◻︎◻︎HILLS LIFE DAILY 廃棄物発電所の屋上がスキー場を併設した緑の楽園に!
  https://hillslife.jp/learning/2020/10/05/copenhill-turns-a-power-plant-into-the-bedrock-for-social-life/

  コペンハーゲンに山を 公式サイト
  https://unitedpeople.jp/copenhill/


【本日の一曲】
Archer Marsh – Clarity

◻︎◻︎せとうち不動産 https://setouchi-fudosan.com/◻︎◻︎