2026 06 22

四国の真ん中を走る特別な旅 ― 「四国まんなか千年ものがたり」で味わう絶景と美食

香川県には数多くの観光地がありますが、その中でも近年人気を集めているのが観光列車です。

香川県の多度津駅から徳島県の大歩危駅までを結ぶ土讃線。その沿線をゆったりと走る観光列車が「四国まんなか千年ものがたり」です。

最近ではテレビや雑誌でも度々紹介され、女優の仲間由紀恵さんが乗車した特集も話題になりました。観光列車と聞くと鉄道ファン向けのイメージを持つ方もいるかもしれませんが、この列車はむしろ「旅そのものを楽しみたい人」のための列車です。


四国の歴史と自然を結ぶ列車

「四国まんなか千年ものがたり」は2017年に運行を開始したJR四国の人気観光列車です。

運行区間は香川県の多度津駅から徳島県の大歩危駅まで約65km。四国のほぼ中央部を縦断するルートで、沿線には善通寺や金刀比羅宮、祖谷地方など千年以上の歴史を持つ文化や景観が数多く残されています。

列車名にある「千年」は、そうした長い歴史への敬意から名付けられたものです。

コンセプトは「おとなの遊山(ゆさん)」。

遊山とは、かつて徳島で親しまれていた小旅行の文化で、お弁当を持って山や浜辺へ出かけ、一日をゆっくり過ごすことを意味します。

観光地を慌ただしく巡るのではなく、移動そのものを楽しむ。そんな贅沢な時間を現代に再現した列車なのです。


車窓から眺める四国の原風景

この列車の最大の魅力は、なんといっても車窓から見える景色です。

香川県側では讃岐平野や讃岐富士とも呼ばれる飯野山、弘法大師空海の生誕地である善通寺、そして「こんぴらさん」で親しまれる金刀比羅宮の門前町を眺めながら進みます。

やがて列車は四国山地へと入り、景色は一変します。

窓の外には吉野川が現れ、切り立った岩肌と深い渓谷が続く大歩危・小歩危峡へ。

この峡谷は約2億年という気の遠くなるような年月をかけて吉野川の激流が削り出した大自然の芸術作品です。

エメラルドグリーンに輝く川面と壮大な岩壁を眺めながら走る時間は、まさに非日常そのもの。

車で走る国道からでは味わえない角度で景色を楽しめるのも鉄道旅ならではです。


秘境駅「坪尻駅」という特別な体験

この列車には全国的にも珍しい見どころがあります。

それが秘境駅として有名な坪尻駅です。

坪尻駅は周囲を急峻な山々に囲まれた場所にあり、駅前に車道がありません。

列車か徒歩でしか訪れることができない、まさに秘境駅です。

さらに坪尻駅には「スイッチバック」という特殊な構造があります。

急勾配を登るため、列車は一度バックして引き込み線へ入り、進行方向を変えて再び出発します。

鉄道ファンでなくても「こんな駅が日本にあるのか」と驚く体験ができる場所です。

観光列車では実際に停車し、ホームや駅舎を見学することもできます。

昭和23年からほとんど変わらない木造駅舎に立つと、まるで時間が止まったような感覚になります。


列車で味わう地元のごちそう

「四国まんなか千年ものがたり」は景色だけではありません。

食事も大きな魅力のひとつです。

下りの「そらの郷紀行」では、金刀比羅宮の森にあるレストラン「神椿」が監修する洋風料理を提供。

オリーブ牛やオリーブ豚、オリーブ地鶏など香川県を代表する食材を使った贅沢なコースです。

一方、上りの「しあわせの郷紀行」では、徳島の名店「味匠藤本」が手掛ける「おとなの遊山箱」を楽しめます。

遊山箱とは徳島に伝わる三段重ねのお弁当箱。

旬の食材を使った料理が美しく盛り付けられ、目でも舌でも四国を味わうことができます。

車窓の絶景を眺めながら地元の美味しい料理をいただく。

これこそ観光列車ならではの醍醐味でしょう。


古民家をイメージした上質な車内

車内にも細かなこだわりが詰まっています。

デザインコンセプトは「日本のたたずまい」。

徳島県産の杉材を使用した空間は、まるで古民家の中にいるような落ち着いた雰囲気です。

若草色のソファが印象的な1号車「春萌の章」、藍染めをイメージした床が美しい2号車「夏清・冬清の章」、紅葉色のソファが彩る3号車「秋彩の章」。

どの車両も四季をテーマにデザインされており、乗るだけで旅情を感じられます。

大きな窓から流れる景色を眺めながら、ゆったりとソファに身を預ける時間は格別です。


四国の魅力を再発見する旅へ

旅行というと、どうしても目的地ばかりに目が向きがちです。

しかし「四国まんなか千年ものがたり」は、移動時間そのものが旅の主役です。

渓谷を眺め、里山を眺め、地元の料理を味わい、沿線の人々と触れ合う。

そこには飛行機や新幹線では味わえない、ゆっくりと流れる時間があります。

香川県に住んでいると、つい当たり前に感じてしまう風景も、列車の窓から眺めると違った魅力が見えてきます。

県外から訪れる方はもちろん、地元四国に住む私たちこそ一度乗ってみる価値がある列車ではないでしょうか。

善通寺、金刀比羅宮、祖谷、大歩危・小歩危。

千年の歴史と雄大な自然を結ぶ特別な列車旅。

日常を少し離れて、「おとなの遊山」を楽しんでみてはいかがでしょうか。


◻︎◻︎家庭画報.com  仲間由紀恵さんが初めての観光列車「四国まんなか千年ものがたり」を堪能
  https://www.kateigaho.com/travel/local/182150

  JR四国 四国まんなか千年ものがたり
  https://www.jr-shikoku.co.jp/sennenmonogatari/


【本日の一曲】
Trio Ternura – A Gira

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